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映画『忌怪島』を批判したーい!R50702

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2023年6月16日公開の忌怪島

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 2023年6月16日に公開され、はや、半月過ぎていつの間にか文月、夏休みにはまだ入っていないのに、劇場前の待合スペースは若者ばかりが集っていた。なぜだか不明だが、この『きかいじま』、ヒットしてるとは言えない感じのようだ。エーガドットコムのレビューとか5段階評価のなんと2.6スターでしかなく、高めの評価を出しているサイトも3.2が上限という「弱」な勢いだ。人気のなにわ男子の西畑大吾くんを使ったり、衝撃的で一般受けしそうなCMも流しているにもかかわらず、残念なことだ。

 

 事実、僕は2.6スターをネットで確認して、危うく洋画の『ミーガン』に乗り換えるところだった。いやぁ、よかったよ、忌怪島。2.6スターはおかしな評価というか間違った見方だとしか思えない。ホラー映画の範疇なんだから、鑑賞中にどれだけ、ドキドキさせられ、ゾワゾワと不安な気持ちにおとされ、恐怖に思わず目をそむけたくなったり、ギャッと思わず声が出そうな予想外のタイミングの驚かしに、耐えきれずに、全身に緊張が走って想定外に自身の身体が動いていたりしたかで判断するべきでは?(実際、鑑賞中、シアター内のあちこちで、恐怖の刺激への自然な反応が体の動きにつながり、それが座席や床に伝わり、まるで4DXか!?と思うくらい、イスの背からトーンと小さな衝撃や揺れを受けた。)

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 大きなモノで7回以上小さなモノを含めると、その3倍の回数で反応させられた。いやぁ~怖い思いをしたぁと感じたわけだから恐怖映画として3.6スターはあるでしょう。大人の鑑賞基本料金が2000円となった現状においても、ビクっとした刺激を受けたり、スリルを味わいたい欲を満たしてくれた、この『忌怪島』はよくできた満足のいく作品であった!おすすめしたい!だがだがだがー、僕がやってるのは「批判したーいシリーズ」なので、もっとよいモノにできたと思う所を指摘していくよー。ネタバレあるかも知れないので、ここから後はちゃんと鑑賞してから読んでほしいね。

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 まず一番は、本作品のこだわりに関わってくることなので、制作側の人々は「それはできない!」と言うだろう。が、シアターの出口扉を開けるまでの短い間、つまり鑑賞直後に本作を観たばか者、いや失礼、若者たちは口々に「意味がわからない」「よくわからなかった」「・・・のところ、あれ何?」「どうゆうことなのかな?」という言が洩れ出ていた。この意味わからん感というか、観る者に「わからない感」を抱かせてしまったのが、スター評価が低くなってしまった大元である。

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 まさに制作側のこだわりがこの「わからない感」に直結してるから、どうしようもないのであろう。こだわりとは、主人公西畑男子が演じる脳科学者が創り出したVRによる仮想世界である。これが、ものすごくリアルに近く、区別がつきにくい程、脳科学を活用して脳波でその人個々の脳内の記憶や経験の蓄積にまで働きかけることのできるVRゴーグルやPC類を含めたシステムになっているというストーリー設定なのである。そう、まずはこのVRシステムをなんとなくしか理解できないままに、話が展開してしまうのに、ついていけない若者が多いのである。

 

 そして、過去に現実世界に存在しただろう、島の悲劇の「赤い女」。ただし、本作では赤い女は謎の存在だから冒頭から明らかにはならないし、しかも、飽くまでも「赤い女」伝説として、奄美の祈祷師ユタの口から語らせるストーリー展開になっているのが、観る側にとっては難解で紛らわしい。僕にとって難解でなかったのは、奄美のユタについて、知見があったからだ。だから、ユタを初めて見聞きする観る側の若者には、ただの怪しい、おばさんにしか見えないだろうし、ユタの言う事を戯言とするような疑いの念を拭い去れないであろう。

 

 さらに、伝説は繰り返すという怖い物語につきもののパターンで、最初の「赤い女」の祟り的に比較的近年において、再び、島に沢山の犠牲者を生む悲劇の「赤い女」が登場した事がからんでくるので、観る側にとっては混同しやすい。

 自分的にはうまく説明できていると思っているのだが・・・・、あまりにストーリーが詳細な所まで上手くできているので、これをしっかり追っていくと、字数や言葉が多くなりすぎて面白くない。肝心なことは、現実の島に再び現れた「赤い女」は、あの名バイプレーヤーの笹野ハブられジジィのお母さんであったということ。そして、その島で2回目の大悲劇において、とても簡単に言い表せないくらいキツい・苦しい体験をした笹野ハブられジジィ。この男の辛く大変な思い・経験を実は、脳科学者が開発した先述のVRシステムの中に採り入れているっていう種明かしなのだ。

 

 なので、VRというバーチャルリアリティー極言するとバーチャル、仮想のはずなのに、あまりに遠い時代からの出来事や、感情的で人間臭くてドロドロした経験の深いものを採り込んだ現実的な仮想のものとして、いわば進化した「赤い女」が出現することになるのである。この進化した「赤い女」がVRシステムの中にも、あるいは島の現実世界の中にもダブルで存在しているかのような状態が発生する。これが、「あり得ないことだよ」と第三者が言いきれないくらい、実は超リアルなことに僕には感じられた。この超リアルをこの映画の中で引き出そうとしたのが、制作側の大きなこだわりなのである!つまり、VRシステムで現実と仮想の2つの空間を行ったり来たりするのが、この世とあの世の間を行き来する、まさに奄美の祈祷師のユタが、その信ずる者たちに行っている業と全く同じことであるのだ。新・旧の信心、科学・非科学といった対照的なものが実は相通じる部分が大きい、なんてことだ・・・なんてことだ・・・。面白いこだわりで、僕には容易に理解できたが、イマドキの若い鑑賞者には無理なんだろう。

前回リンク

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 清水崇監督だけに、『呪怨』のようにもう少し、単純化すればよかったのだろう。「赤い女」=「イマジョ」のキャラ、わざわざ伝説にしなくてもよかった。「赤い女」=笹野ハブられジジィのお母さんでも話は成立すると思う。また、冒頭シーンに登場の「赤い女」は怖さだけでなく、やってる動作や肉体の様が、色香で島の男たちを巻き込んだ、笹野ハブられジジィのお母さんのイメージが出ていたが、その後からのシーンでは、ただ怖くおそろしく醜く、奇怪に見えることが誇張されていた。そもそもハブられストーリーの前提として、「赤い女」イマジョになる以前=被害に遭う前段階においては、かなり女子力も高い女であるはずだし、ある意味、男を虜にしたような女の魅力を持つ部分がある存在のはず、その辺をイマジョの中に、もっと出してほしかった。さすれば、怖さと美しさが併存した、あるいは美から醜に豹変するよな新しい形のキャラになったかもしれないね。イマジョフィギュアも出せたかもよ。(笑