ハッチsunのブログ

Big smile please!

鴨池イオンダイエーのすたるじー弍

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 鴨池イオンダイエーの全景から。わかる懐かしいこと、屋上の駐車場から店内への入り口がサーカスの円形テントのごとく、紅白色に彩られていた。なんだか、楽しいことがありそうな雰囲気を醸し出していたんだよ。

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 今もその構造自体は変わることなく、受け継がれてきたのだが、ぐるっと、店内の円形広場(真ん中に1Fと2Fを行き来するエスカレーターあり)を下方に臨みながら段々に下っていくスロープは、広場で催事があればなおさらのこと、何もなくても、人の流れが、そこの空間にしかない人波、雑踏感を作っていてなんだか面白かった。

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 そんな、何を買うってことでもなく、雰囲気を味わいたい、大量の人の集いの中に紛れて、ただそこを見て歩き回りたい願望から、僕は小さい頃、わりと近距離に住っていた祖母宅に行くと、祖母に「ダイエー連れてって〜」とおねだりしたものだ。祖母は昔の人らしく、お金を無駄遣いしてはならぬ的信条の持ち主だったので、「ダイエーも8割は飲食や食料品の売上が占めるところだから、連れていけば、なんだかんだ、ちょこっとした余計なお金がかかるのよ〜」と、本音を僕にもらすくらいで、あまり連れて行ってくれなかった。

 

 そこで、僕が考えた作戦は、祖父母と同居していた祖父の妹、親戚名で言うと、大叔母(おおおば)というらしい、彼女に祖母には内緒でダイエーに連れて行ってもらうよう頼むことだった。小さな頃の僕は、祖母と大叔母の関係性など深く知る由もない状況、ただ、優しく、言葉丁寧な祖母が大叔母に対しては、そうではないことを知っていた。なので、ダイエーに連れて行きたがらない祖母の意向に反してでも、彼女ならなんとなくOKしてくれそうに感じたのだ。

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 彼女は「何も買わんよ、ただ行くだけよ。」と言ってしぶしぶ了解してくれた。徒歩でダイエーに向かう道すがら、彼女との会話は特になく、手を繋がれることもなく、何か危険な行為を注意されるでもなく、祖母とは僕への対応は違っていた。僕が一番感じたのは、家にいる時と全く同じ格好、エプロンじゃあない、割烹着的な白い服をまとっていたが、そのまんま、彼女が外出してきたことだった。歩きも遅く、早く祖母にバレずにダイエーにたどりつきたい僕は、大叔母を「◯◯ちゃん、はやくー」と急がせた。

 

 そして、ダイエーに入ると、さらにスピードアップする僕は、先に走っては、彼女を待つ、走っては待つの繰り返しになった。ちょっとだけ急ぐ様子のあった彼女、その時にやっと僕は気づいたが、彼女はちょいビッコをひいていた。(これはもう使わない表現かもしれない、ごめんなさい)そして、何かを買い求めるわけではない僕の、ダイエー内での走り回り男子ぶりに彼女は、「ここで待ってるね」もなく、ずっと後を付いてきてくれた。きっと、見守り、子守りの責任を果たそうとしたのだと思う。

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 円形広場のエスカレーター、先にエスカレーター内の階段も歩きつつ、2Fから1Fにスッと降りた僕。後方上方を振り返ると、大叔母がエスカレーターの乗り口の所で、足を踏み出そうとしては引っ込め、踏み出そうとしては引っ込めを3回繰り返す様が見てとれた。彼女はなんと、エスカレーターに乗ったことがなかったのだ。あきらめて、すぐ横の階段を手すりにつかまりながら降りてくる大叔母を見上げながら、僕は何か彼女にかなり無理な事をお願いしてしまったんだと申し訳ない気持ちになった。

 

 そのエスカレーター乗り不可を目撃後の情報が僕の頭の中ではプツリと途絶えている。その後、どのくらいの時間過ごしたのか?とか、どこで何をみたのか?とか、同じように走り回ったのか?とか。祖母宅に帰宅後しばらくして、祖母がどこからか、帰宅して、大叔母をたしなめている言を覚えている。「あんたはもう、余計なことをして、どうするのね、途中であんたやまごが転んでケガでもしたらー」これに口ごもりながらも何らか反論してる大叔母の声も聞こえていたが、内容はわからない。

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 身近にいたのに、彼女の詳しいことを何も知らずにいる中で、ただ自分の願望だけを通したいだけに、彼女を利用し、結果、彼女に色々と無理をさせてしまった。今思えば、親戚の中でその存在を消すように、周囲に知れず知らされず、半ば無視された感もあった大叔母。彼女が抱えていた障害的なものや生育歴を含めた過去、そして親戚の中での立ち位置、これらをしっかりとらえることもなく過ごしてきた僕も一体全体、どんな情を持ち合わせているのだろうか。

 

 でも、鴨池イオンダイエーが失くなる今、あの憩いの場所の中、象徴である円形広場にデーンと座る上り下りのエスカレーター。一番に想い出すのは、大叔母の足元を見てためらう姿なのだ。彼女に何もしなかった自分、何もできなかった自分、せめてダイエーに連れて行ってくれてありがとうね。」の感謝の一言さえ伝えるタイミングもなく、彼女が最後まで静かに、天に召されたことを悔いているのだ。

 

     

     

 

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